治療コラム
舌の位置と口呼吸が引き起こす歯並びへの影響
2025.01.20
1分でわかる!
この記事のまとめ
- 間違った舌の位置や口呼吸は、お口周りの筋肉のバランスを崩して出っ歯や開咬などの原因になる
- 口呼吸の長期化は、顔の下半分が伸びる「アデノイド顔貌」や口元のたるみといった顔立ちの変化を招く
- 矯正治療と並行して筋機能療法(MFT)や整体を行うことで、お口と全身のバランスを総合的に改善できる
私たちの口の周辺には、舌、唇、頬などの筋肉があり、これらがバランスを保つことで歯並びは安定しています。しかし、舌の位置が低かったり、口呼吸の癖があると、このバランスが崩れ、様々な歯並びの問題を引き起こす可能性もあります。
舌の正しい位置と役割
舌は、安静時には上顎の歯の裏側にあるスポット(スポットと呼ばれる粘膜の盛り上がり)に軽く触れている状態が理想です。この位置を「正しい舌位」と言います。
正しい舌位にあることで、舌は歯列の内側から適切な圧力をかけ、歯並びのアーチを形成するのを助けます。また、飲み込む際に舌が上顎に押し付けられることで、上顎骨の成長を促す効果もあります。
口呼吸が引き起こす悪影響
一方、口呼吸をしていると、舌が正しい位置から下がり、下顎に落ち込んでしまうことがあります。すると、舌による歯列への適切な圧力が失われ、歯並びが乱れる原因となります。
口呼吸と不正咬合
口呼吸は、以下のような不正咬合を引き起こすリスクを高めます。
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上顎前突(出っ歯):上口唇の圧力が不足することで、上顎の歯が前方に傾斜しやすくなります。
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開咬:上下前歯が噛み合わなくなる状態。口を閉じにくいため、舌が下がりやすく、開咬が悪化しやすくなります。
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叢生(乱杭歯):歯が並ぶスペースが不足し、歯が重なり合って生えてしまう状態。舌の圧力不足や口周りの筋肉のバランスの乱れが原因となることがあります。
口呼吸と顔貌の変化
口呼吸を続けると、顔貌にも影響が現れることがあります。
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アデノイド顔貌:顔の下半分が長くなり、口元が出て顎が小さい顔立ち。鼻呼吸が妨げられることで、口の筋力の低下や鼻腔の発達が不十分になり、上顎骨の成長が阻害されることが原因と考えられています。
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口角下制:口角が下がり、無表情な印象になる。口輪筋の筋力低下が原因となることがあります。
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顔のたるみ:口周りの筋肉が使われにくくなることで、顔の筋肉が衰え、たるみにつながる可能性があります。
口呼吸の原因
口呼吸には、以下のような原因が考えられます。
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鼻詰まり:アレルギー性鼻炎や慢性副バイクウ炎などによって鼻呼吸が困難な場合。
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扁桃腺肥大:扁桃腺が肥大することで、気道を狭め、口呼吸になりやすくなる。
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舌小帯短縮症:舌の裏側にある舌小帯が短いことで、舌の動きが制限され、口呼吸になりやすくなる。
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癖:特に原因がないにもかかわらず、習慣的に口呼吸をしている場合。
鼻呼吸のメリット
鼻呼吸には、以下のようなメリットがあります。
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歯並びや顎の発達を促す:舌が正しい位置に置かれ、口の中や顔の周りの筋肉のバランスが保たれます。
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空気を清浄する:鼻毛や鼻粘膜によって、空気中のほこりや細菌などが除去されます。
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空気を加湿・加温する:鼻腔を通ることで、乾燥した冷たい空気が加湿・加温され、呼吸器系への負担を軽減します。
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免疫力を高める:鼻腔には、免疫細胞が多く存在し、細菌やウイルスから体を守っています。
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脳の活性化:鼻呼吸は、脳への酸素供給を促進し、集中力や記憶力を高める効果も期待できます。
矯正治療と筋機能療法(MFT)
口呼吸が原因で歯並びが悪くなっている場合は、矯正治療と並行して筋機能療法(MFT)を行うことが有効です。MFTは、舌や口周りの筋肉をトレーニングすることで、正しい舌位や呼吸を促し、歯並びや顔貌の改善を図る治療法です。
MFTの主な内容
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舌のトレーニング:舌を正しい位置に置く練習や、舌の筋力を強化する運動などを行います。
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口唇のトレーニング:口輪筋を鍛えることで、口を閉じやすくし、口呼吸を改善します。
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呼吸のトレーニング:鼻呼吸を意識的に行う練習や、腹式呼吸を促す運動などを行います。
MFTは、専門の知識を持った歯科医師や言語聴覚士の指導のもとで行うことが重要です。
整体・理学療法との併用
さらに、整体や理学療法を併用することで、全身のバランスを整え、矯正治療の効果を高めることが期待できます。整体や理学療法では、身体の歪みを整え、筋肉や関節の柔軟性を高めることで、姿勢の改善や顎関節症の予防・改善を図ります。
舌位や口呼吸は、歯並びや顔貌、全身の健康に大きな影響を与えます。口呼吸の癖がある場合は、早めに専門家を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。矯正治療とMFT、整体・理学療法を組み合わせることで、歯並びだけでなく、舌や口周りの筋肉の使い方、全身の姿勢を総合的に改善し、より良い結果を得ることが期待できます。
今野 裕一
Yuichi Konno
銀座HINA矯正歯科 院長
日本矯正歯科学会認定医・歯学博士として、これまで数多くの裏側矯正・難症例と向き合ってきました。「矯正治療はどこでしても同じ」ではありません。大切なのは「どこに、どのように歯を並べるか」です。当院では精密な分析をもとに、お顔の変化まで見据えた質の高い治療を提供しています。歯並びのコンプレックスを解消し、生涯健やかに笑える喜びを実感していただきたい。まだ信頼できるドクターに出会えていない方は、ぜひ一度ご相談ください。