治療コラム
タバコが歯列矯正にもたらすリスクとデメリット
2017.08.18
1分でわかる!
この記事のまとめ
- タバコのヤニは歯や複雑な矯正装置を着色させ、歯茎をどす黒く変色させる
- 喫煙は唾液を減らしてお口の自浄作用を下げ、裏側矯正であっても虫歯リスクを高める
- ニコチン等の影響による血流悪化は歯の代謝を遅らせ、治療期間が長引く原因になる
喫煙時、タバコの煙をダイレクトに受け止めなければならないのが口です。タバコに含まれる数千にも及ぶ化学物質の影響はヤニ汚れだけでは済みません。もっと深刻な悪影響があることを知る必要があります。
そこで、タバコが歯と歯列矯正にもたらすリスクとデメリットについてまとめてみました。
歯と歯茎、矯正装置の変色
タバコの悪影響と言って真っ先に頭に浮かぶのは歯の変色でしょう。ヘビースモーカーの歯は一様に黄ばんだ独特の色をしています。歯列矯正中は矯正装置にもヤニ汚れがつきます。装置は構造が複雑なため、歯並びがよくない場合と同じくクリーニングでもなかなか落としきれません。しかも歯の裏側は吐き出す煙をまともに浴びるため、歯の裏側と裏側矯正の装置は特に汚れがちです。また、タバコを吸うとビタミンCが破壊されて歯茎にメラニン色素が沈着します。すると歯茎はどす黒い色になり、とても不潔で不健康な印象になります。せっかく歯列矯正で美しい歯並びを目指していても、喫煙によりすべてが台無しになるかもしれません。
裏側矯正でも虫歯が増える
基本的に歯の矯正中は虫歯になりやすい状態ですが、裏側矯正の場合は比較的虫歯になりにくいということを以前のコラムの中でお話してきました。ただし、タバコを吸っている場合はこの限りではありません。先にお話した通り、歯の裏側はタバコの煙をまともに浴び、その影響によって虫歯のリスクを増やしてしまいます。
たとえばタバコの煙にさらされた部屋の壁紙は黄ばんでベタベタですが、喫煙者の口の中もこれと同じ状態です。もちろん、口の中は唾液の自浄作用ある程度清潔が保たれます。でも、習慣的な喫煙は自律神経のバランスも狂わせて唾液の分泌量を減らし、その作用を低下させてしまうのです。唾液が少ないと歯の再石灰化作用(歯の修復作用)もはたらかなくなりますし、歯と矯正装置にはベタベタしたタール(ヤニ)が付着し、そこに歯垢がこびりついて虫歯ができやすくなるのです。
歯列矯正を滞らせる
喫煙すると一酸化炭素やニコチンの影響で血流が悪くなります。歯列矯正で歯を動かす場合、歯に力をかけることで代謝を促し歯の土台(歯槽骨・しそうこつ)を作りかえますが、血管が収縮して細くなると必要な代謝物質が運ばれにくくなります。代謝がおちれば歯が動きづらくなるため、歯列矯正に必要以上の時間がかかることになります。
タバコによる血流悪化は歯列矯正用アンカースクリュー(矯正用インプラント)へのリスクも懸念されており、日本矯正歯科学会による歯科矯正用アンカースクリューガイドラインの中では『局所の血行不良による影響を考慮し、喫煙によるリスクを考慮すべきである』と書かれています。
食事の度にきちんと歯を磨く人はいますが、タバコを吸うたびに歯を磨く人はほとんどいません。しかしタバコのヤニは頑固にこびりつき歯を汚します。そしてガンやPTSDといった周知のリスクのみならず、耐え難い口臭や粘膜異常、歯周病など歯や口に及ぼす影響は甚大です。タバコは歯と歯列矯正にとっても百害あって一利なしです。
もしあなたが喫煙者であるならば、禁煙を考え、まずは専門医に相談してみましょう。
今野 裕一
Yuichi Konno
銀座HINA矯正歯科 院長
日本矯正歯科学会認定医・歯学博士として、これまで数多くの裏側矯正・難症例と向き合ってきました。「矯正治療はどこでしても同じ」ではありません。大切なのは「どこに、どのように歯を並べるか」です。当院では精密な分析をもとに、お顔の変化まで見据えた質の高い治療を提供しています。歯並びのコンプレックスを解消し、生涯健やかに笑える喜びを実感していただきたい。まだ信頼できるドクターに出会えていない方は、ぜひ一度ご相談ください。