院長のカルテ
すき間
2014.05.07
不正咬合(ふせいこうごう)の一つに、上の前歯の真ん中に隙間が空いている「正中離開(せいちゅうりかい)」という状態があります。いわゆる「すきっ歯」のことですが、前歯のガタガタと同様に目立ちやすいため、当院でも「隙間を閉じたい」と矯正治療を希望される方がとても多い症状です。
その原因はいくつかありますが、代表的なものとして、まずは「過剰歯(かじょうし)」が挙げられます。これは正常な本数よりも多く作られてしまった余計な歯のことで、前歯の根っこの間に文字通り邪魔者のように埋まっているため、隙間が閉じようとするのをブロックしてしまうのです。レントゲン写真を撮って初めて見つかることが多いのですが、不思議なことに、この過剰歯はなぜか本来とは真逆の方向(上向き)を向いて骨の中に潜んでいることがよくあります。この場合は、まず原因となっている過剰歯を抜歯してから、矯正装置で隙間を閉じていきます。
もう一つの原因は、上唇の裏側から歯茎へと伸びている「上唇小帯(じょうしんしょうたい)」というヒダの異常です。通常、このヒダは成長とともに歯から離れていくのですが、まれに位置が変わらずに残り、歯と歯の間に入り込んで閉じるのを邪魔してしまうことがあります。実は、子供の前歯が生え変わる初期の段階では、誰もが前歯に隙間があるもので、その見栄えから「みにくいアヒルの子の時期」とも呼ばれます。その後、犬歯(糸切り歯)が生えてくる力やヒダの自然な変化によって隙間は自然と閉じていくのですが、大人になってもヒダが邪魔をしている場合には、矯正で隙間を閉じた後にヒダを少しだけ切除する処置が望ましいこともあります。
隙間やガタガタが気になって、笑うときに口元を隠してしまったり、人と接することに消極的になってしまったりするお悩みは、周囲に「気にしすぎ」と言われても本人にとっては本当に大きな問題です。矯正治療の素晴らしいところは、そうした見た目の改善だけでなく、コンプレックスが解消されることで気持ちが前向きになり、毎日の生活がより楽しくなるという内面的なプラスの変化にあります。おとぎ話の始まりが少し切なくても、最後は皆様が最高のハッピーエンドの笑顔を迎えられるよう、私たちは全力でサポートいたします。
今野 裕一
Yuichi Konno
銀座HINA矯正歯科 院長
日本矯正歯科学会認定医・歯学博士として、これまで数多くの裏側矯正・難症例と向き合ってきました。「矯正治療はどこでしても同じ」ではありません。大切なのは「どこに、どのように歯を並べるか」です。当院では精密な分析をもとに、お顔の変化まで見据えた質の高い治療を提供しています。歯並びのコンプレックスを解消し、生涯健やかに笑える喜びを実感していただきたい。まだ信頼できるドクターに出会えていない方は、ぜひ一度ご相談ください。